2008年 特許法等の一部改正
2008年、国内特許法が一部改正されました。
詳細は、以下をご参照下さい。皆様の今後の出願にお役立て下されば幸いです。
1 通常実施権等登録制度の見直し
(1)改正のポイント
①特許の出願段階におけるライセンスに係る登録制度の創設
仮専用実施権・仮通常実施権の制度が創設され、れらの登録によりライセンシーが第三者対抗力を備えることができます。
本改正により特許出願人は、将来取得すべき特許権について仮専用実施権・仮通常実施権を設定・許諾でき、それらの実施権を登録できることになります。そして、特許権の設定登録があったときは、それぞれ専用実施権が設定され、通常実施権が許諾されたものとみなされます。
従来、特許権成立前のライセンスに関する規定が無く、特許を受ける権利が第三者に移転された場合や、特許を受ける権利を有する者が破産した場合には、特許を受ける権利についてのライセンシーが対抗要件を具備するすべがありませんでした。
本改正により、出願段階での実施権を保護するための規定が創設され、発明のより早期の活用に資することになります。
②現行の通常実施権登録制度の活用に向けた見直し
特許権・実用新案権に係る通常実施権の登録事項うち、秘匿の要望が強い登録事項(①ライセンーの氏名等、②通常実施権の範囲)の開示が一定の利害関係人に限定されます。
従来においては通常実施権に係る登録事項は対外的に開示されることになっており、他社とのライセンス情報は企業の営業秘密や経営戦略に関わる情報として対外的には開示せず秘密にしておきたいとの意見がありました。
そこで、以下の図の通り、秘匿化ニーズに対応した見直しを行い、ライセンシー保護に資するための制度整備を行いました。
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掲載資料『特許法等の一部を改正する法律の概要』より
なお、専用実施権は、設定された範囲で独占排他性を有する強い権利であり、登録事項は従来どおり全て開示することになっています。
(2)施行日
平成21年4月1日から
2 不服審判請求期間の見直し
①特許の拒絶査定不服審判の請求期間(現行30日 以内)が3月以内に拡大されました。
②特許請求の範囲の補正可能時期が、従来は拒絶査定不服審判の請求から30日以内に可能であったのを審判請求と同時にのみ可能に変更されまし た。
③意匠・商標については、拒絶査定不服審判と補正却下決定不服審判について請求期間(現行30日以内)が3月以内に拡大されました。
改正のポイント
従来は、拒絶査定不服審判については拒絶査定謄本の送達日から30日以内、補正却下決定不服審判については補正却下決定の謄本の送達日から30日以内にそれぞれ請求できました。しかし、審判請求の当否の判断に際し、この請求期間が短いとの指摘がなされ、上述の通り、請求期間が拡大されました。
一方、特許請求の範囲の補正可能期間については、従来は審判請求から30日以内に可能でしたが、審判請求期間が拡大されることから、十分に補正内容を検討した上で審判請求が可能であることから、審判請求と同時にのみ可能としました。
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掲載資料『特許法等の一部を改正する法律の概要』より
(2)施行日と適用対象
平成21年4月1日から
本改正による不服審判請求期間の拡大は、施行日である平成21年4月1日以後に送達される拒絶査定謄本又は補正却下決定謄本に対する不服審判の請求について適用されます。
3 料金納付の口座振替制度の導入
料金納付に係る手続の簡素化に対する利用者のニーズに答え、料金納付を銀行口座からの振替による納付制度を導入しました。
(1)改正のポイント
特許庁が申請者に代わり、金融機関に対し手数料の振替指図を行うことが可能になることから、申請者は24時間、オンライン申請により、申請と同時に手数料の納付(リアルタイム口座振替)が可能になります。
※特許庁HP掲載資料『特許法等の一部を改正する法律の概要』より
(2)施行日
平成21年1月1日から