2012年1月1日

「類似商品・役務審査基準【国際分類 第10版】対応」について

 商標の国際分類第10版の施行に伴って、類似商品・役務審査基準が改訂されました。
今回は、この類似商品・役務審査基準の改訂の概要を紹介します。

1. 施行日と経過措置

(1)施行日 :2012年 1月 1日
(2)経過措置:2011年12月31日までの出願は、原則として、第9版の審査基準によって審査されます。

2. 主な変更点

 以下に述べる変更点は、今回の改訂の一部です。すべての変更点を網羅した審査基準は、特許庁HPの以下のリンクからご確認ください。

(1)第5類「薬剤」

 従来、第5類の商品「薬剤」は、農薬に該当するか否かを問わず、第1類の商品「植物成長調整剤類」に類似する商品として扱われていました。

 今回の改訂により、第5類の商品「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」は、第1類の「植物成長調整剤類」とは非類似の商品として扱われることになりました。

(2)第5類「おむつ」

 従来、「おしめ」に関連する商品は、第5類「失禁用おしめ」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第25類「布製幼児用おしめ」として、材質や用途によって異なる区分で登録されていました。

 今回の改訂により、「おしめ」に関連する商品は、すべて第5類「おむつ」(類似群コード『17A09(新設)』)に属する商品として扱われるようになりました。

(3)第5類「サプリメント」

 従来、「サプリメント」に該当する商品は、「いわゆる健康食品」として第29類及び第30類に属する商品として扱われていました。

 今回の改訂により、商品「サプリメント」との商品記載が認められるようになり、第5類(類似群コード『32F15』)に属する商品として扱われるようになりました。

(4)第9類「電子応用機械器具及びその部品」

 従来、商品「電子応用機械器具」は、民生用か産業用かを問わず、同一の類似群コード『11C01』が付与されていました。

 今回の改訂により、商品「電子応用機械器具及びその部品」のうち、民生用の商品は、類似群コード『11C01」が引き続き付与され、産業用又は研究用に用いられる商品は、類似群コード『11C02(新設)』が付与されることになりました。

(5)第9類「事故防護用手袋」

 従来、「手袋」に関連する商品は、第9類「事故防護用手袋」、第10類「医療用手袋」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」、第25類「手袋」として、用途によって異なる区分で登録されており、これらの手袋はいずれも類似する商品として扱われていました。

 今回の改訂により、 第9類「事故防護用手袋」、第17類「絶縁手袋」及び第21類「家事用手袋」は、引き続き類似する商品と扱われますが、第10類「医療用手袋」とは類似しない商品として扱われることになりました。

(6)第10類「医療用手袋」

 従来、「手袋」に関連する商品は、第9類「事故防護用手袋」、第10類「医療用手袋」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」、第25類「手袋」として、用途によって異なる区分で登録されており、これらの手袋はいずれも類似する商品として扱われていました。

 今回の改訂により、 第10類「医療用手袋」は、上記の他の区分に分類される手袋とは非類似の商品として扱われることになりました。

(7)第12類「車椅子」

 従来、商品「車椅子」は、第10類の商品「医療用機械器具」に類似する商品として扱われていました。

 今回の改訂により、商品「車椅子」は、第10類の商品「医療用機械器具」のうち、商品「歩行補助器,松葉づえ」のみと類似する商品として扱われることになりました(類似群コード『10D02(新設)』)。

(8)第25類「セーター類,ワイシャツ類」

 従来、商品「セーター類,ワイシャツ類」は、商品「寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」に類似する商品として扱われていました。

 今回の改訂により、商品「セーター類,ワイシャツ類」は、商品「洋服,コート」に類似する商品として扱われることになりました。

(9)第28類「家庭用テレビゲーム機」

 従来、テレビ等の外部表示装置にゲームの内容を表示させる「家庭用テレビゲーム機」は第9類に属する商品として扱われていました。一方、ゲーム機に備えられた表示装置にゲームの内容を表示させる「携帯用液晶画面ゲーム機」は、第28類に属する商品として扱われていました。
 今回の改訂により、テレビゲーム機は、表示装置の有無にかかわらず、第28類に属する商品として扱われることになりました。

(10)第30類「サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」

 従来、商品「サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、商品「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ」に類似する商品として扱われていました。
 今回の改訂により、商品「サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、商品「菓子,パン」に類似する商品として扱われることになりました。

3. 実務に与える影響と対応策

(1)類似群コードの変更によって、既に登録されている2つ以上の同一又は類似する商標が、類似する商品・役務について併存する(同一の類似群コードを持つ)事態が発生します。
 ただ、この問題については侵害訴訟における商品・役務の類否判断によって決着が図られることになります。

(2)改訂前には類似と推定され、他人の商標登録を排除できていた商品・役務(同一の類似群コードを持つ他の商品・役務)が、改訂後に非類似と推定される商品・役務になることが想定され、改訂前と同じ商品・役務についての出願でも、他人の商標登録を排除できる範囲が改訂前よりも狭くなる可能性があります。
 例えば、第10類の商品「医療用手袋」は、改訂前の類似商品には、第9類「事故防護用手袋」、 第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」、第25類「手袋」がありましたが、改訂後は、これらの商品とは審査上非類似の関係になります。
 その結果、従来は禁止権の範囲での保護で十分で考え、積極的に出願していなかった商品・役務について、他人が商標登録を受けてしまう事態が発生しかねません。自社の商標登録の商品・役務とその類似範囲を改めて確認し、審査上の禁止権の範囲が狭まる場合には、改訂前に禁止権で保護されていた商品・役務についても積極的に出願する対応が、自社ブランドを守る上で有効な対応策であると考えます。